https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35046889/

【山口哲志先生のコメント】

近年、タンパク質をコードしないノンコーディングRNAの一つであるMicroRNAはそのターゲット遺伝子の発現を負に制御する事で遺伝子発現を微調整して多くの生命現象に関与している事が注目されています。Mir221/Mir222は肥満や2型糖尿病患者の脂肪組織において発現が上昇しており、特にMir222は糖尿病患者で血中濃度が上昇するためバイオマーカーとなり得る事が報告されていますが、その病的意義は分かっていませんでした。
本研究では、Mir221/Mir222のターゲット遺伝子としてmTOR (mammalian target of rapamycin)の抑制因子であるDDIT4を同定し、脂肪細胞特異的Mir221/222ノックアウトマウス（Mir221/222AdipoKO） では食餌誘導性肥満が改善する事を明らかにしました。さらに、Mir221/222AdipoKOマウスの肥満改善メカニズムとして脂肪組織におけるDDIT4の発現上昇とmTORの抑制を介して、脂肪細胞の分化が抑制される事を明らかとしました。これにより脂肪組織におけるMir221/Mir222が新たな肥満・２型糖尿病の治療ターゲットとなる可能性が示唆されました。
ご指導を賜りました和田教授をはじめ、皆様に感謝申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。