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高血圧・血管グループ

研究グループ紹介

高血圧・血管グループ

高齢化社会の日本において4000万人以上が罹患しているといわれる高血圧症は、いわば日本の国民病の筆頭です。致死的な脳心腎血管イベントを起こさないよう予防的治療が求められる昨今、適切な高血圧症の治療は国民生活のみならず医療費抑制の観点からも非常に重要です。
また、慢性腎臓病(CKD)は、成人の8人に1人つまり1330万人以上が該当するとされ、21世紀の新たな国民病として注目されています。末期腎不全の予備軍であるだけでなく、脳心血管疾患を高率に発症するリスク因子として認識されており、その予防や治療は重要です。
残念ながら末期腎不全となった患者さんには生命維持のために透析治療が必要になります。透析治療を行うための腹膜透析用カテーテルや血液透析用バスキュラーアクセスを最適な時期および方法で、留置・作成・そして管理することが、透析患者さんのQOL向上の観点からも求められています。
血管合併症という観点から、大血管疾患から心疾患・腎疾患・末梢血管疾患まで様々なレベルの高血圧・慢性腎臓病・血管病に対して臨床・研究を精力的に取り組んでいます。

―臨床―

当グループでは、
第1に、生活習慣病である高血圧、動脈硬化、CKDの診療を行っております。高血圧をはじめ、肥満、糖尿病、脂質異常症、CKDや高尿酸血症など、いわゆる「動脈硬化」を起こしやすい患者さんに、現在の「動脈硬化」がどの程度であるか(血管年齢は何才ぐらいか)を評価して、脳卒中や心筋梗塞など致死的なイベントを予防するための生活習慣をアドバイスします(食事療法・運動療法)。必要な患者さんには科学的根拠に基づいた最善の薬物療法を処方します。さらに難治性高血圧、大型血管炎や2次性高血圧(特に腎血管性高血圧症)の診断や治療も行っています。
第2に、腎血管エコー、透析関連アクセスの作成(内シャント手術や腹膜透析カテーテル留置術など)、経皮的シャント血管形成術(PTA)を行っています。内シャント関連手術は心臓血管外科とともに行っています。腎臓内科が関わることで、穿刺をイメージした術前評価やデザインを行い、患者さんのよりよい血液透析生活に尽力しております。昨年1年間病院全体で57例の手術のうち、当グループ執刀症例が19例、助手20例、と半数程度を当グループのメンバーが行っています。維持透析のシャント不全のご紹介に対しては、迅速かつ負担の少ない日帰りPTAを当グループ単独で行っており、昨年は28例施行しました。腹膜透析関連手術は肝胆膵外科とともに行っていますが最近は全例を当グループが執刀医として作成しており昨年は合計で12例でした。頻度の高いカテーテル合併症予防を意識した手術および周術期ケアを行っており、トラブルの少ない腹膜透析生活に尽力しております。腎動脈狭窄症に対して、循環器内科とともに経皮的腎動脈形成術(PTRA)の適応ある症例を積極的に治療しています。
第3に、末梢血管疾患の治療を志すチーム「VasMO(Vascular Meeting in Okayama)」を、循環器内科、血管外科、皮膚科、形成外科、看護師、CVT、理学療法士など複数科多職種とシームレスに形成し、連携診療を進めています。

―研究―

当グループでは、高血圧症や大血管に起因する以下のような各種疾患の基礎的研究として、1)大動脈瘤の成因の解明と新規治療法の開発、2)動脈硬化の成因の解明と新規治療法の開発、3)大型血管炎の成因の解明と新規治療法の開発、4)慢性腎臓病の成因の解明と新規治療法の開発、5)血管内皮機能異常および血管老化に対する新規治療法の開発、最近では、6)バスキュラーアクセスの最適な作製方法およびその管理法の開発、なども行っています。
さらに、臨床研究としては、高血圧患者を対象とした、降圧剤別の臨床効果の差の検討をここ13年間継続して多施設共同で行っております。透析患者のフレイル/サルコペニアと予後の関連について前向きコホート研究を行っております。またCKD患者の早期発見・早期治療や、医師会と協力した医療連携を進め、特に特定健診による予防効果の検討をしています。最近開発された新規の血管機能検査機器の臨床応用を目指した検討をしています。
(責任者:内田 治仁)